福岡県済生会二日市病院

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当院の心不全ケアチーム活動

循環器内科部長 鬼塚 健

我が国では高齢化社会の到来をうけ心不全の患者数は2035年をピークに増加し、医療費の増大や医療体制の疲弊を含む社会的な問題、いわゆる心不全パンデミックが起こると考えられています。それはこの筑紫医療圏でも同様であり、既にその兆しは見えています。心不全患者さんは増悪を繰り返すことで、心機能だけでなく認知・身体機能を低下させ、健康寿命まで損なわれることが最大の課題と考えられます。心不全に対する治療は薬物治療が中心となりますが、近年、心不全に対する新たな薬剤が複数加わり標準治療薬、その使い方も変遷しています。そのため、我々は常に知識のアップデートと共有をしていかなければなりません。一方で、80歳以上の高齢者では薬物治療だけは十分に再入院を防げないことが知られています。これは、慢性心不全の増悪誘因の約6割が患者セルフケアに起因するという心不全の特徴に加え、高齢者が有する認知機能低下や身体的、社会的フレイルによる問題が大きいと考えられています。
そのため、当院では2020年10月より心不全ケアチームを発足し、入院中の心不全患者について多職種で協議しながらセルフケアの指導や環境調整を行い、外来では心不全外来や心臓リハビリに通院していただき、再入院予防やQOL向上のための継続支援を行っています。また、退院時の情報伝達を含めた移行期ケアが不十分であれば再入院を招いてしまうため、多忙を極める地域の先生方や在宅スタッフの方々に統一した情報を効率よく共有できるよう「心不全ケア連携シート」を退院時に発行しています。訪問看護などの在宅支援が必要な患者においては、かかりつけ医を含めた多方向の情報共有を可能にすべくICTシステム「バイタルリンク®」を用いており、継続的なアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の情報を活かしたケアが可能となった症例も経験することができました。
これからの心不全パンデミックに立ち向かうべく、患者さんの望む生き方、価値観を含めた医療情報を共有しながら、院内での連携はもちろん地域全体でシームレスに心不全患者を診ていく。そんな未来を描きながら、我々多くの医療職種がそれぞれの専門性を生かして地域の皆さまの支援をしていきたいと思っています。

慢性心不全認定看護師 看護課長 大島 祐子

患者さん、家族が今後どのようにすごしていきたいかという思いを確認し、その思いに寄り添い、入院中は今後の生活をイメージしてもらえるように退院後の生活に目を向けるよう心がけています。退院後は日常生活に戻ってからの生活状況や継続できていることを確認し、相談を継続しています。今までの生活を振り返ることで、患者、家族が体調の変化に気付き、病気を抱えながら安心して生活できるように、「生活の制限」ではなく「生活の工夫」をすることで患者さん自身が実行できる方法を一緒に考えます。そして、状態が変化したときにはその都度、状況に応じた方法に変更し、患者さん、家族が心不全とうまく付き合って過ごしていくことができるように支援していきます。

リハビリテーション部 大友

リスク管理に重点を置き、早期離床を積極的に行うことで可能な限り病前ADL維持に努めています。退院時にはQOL向上のため在宅での運動処方、生活指導を行っています。また、地域で患者さんを支える在宅スタッフの方々のニーズにも応えていきたいと考えています。

医療ソーシャルワーカー 田中 愛子

急性期医療機関で行う治療と患者さんの日常生活の橋渡し役でできればと考えています。そのために、かかりつけ医や後方連携病院、ケアマネージャーや在宅サービスの方々と心不全治療や生活管理について、わかりやすく情報共有をしていきたいと思います。治療やその他のことについてお尋ねになりたいことがあれば患者支援センターを窓口に気軽にご連絡ください。

薬剤部 秀島 久美子

入院支援センターでの入院前から退院まで患者さんの薬剤管理を行い、退院時にはかかりつけの調剤薬局へ「薬剤管理サマリー」として情報共有を行っております。心不全患者さんは必然的に服用薬剤が増えてしまうため、入院中にポリファーマシーへの介入も積極的に行っております。心不全療養指導士の資格保有者もおり心不全ケアのサポートを行います。

栄養部 科長 和田 恵美子

入院中、ミールラウンドを実施し、患者さんの食事摂取状況や栄養状態を確認しています。また、退院前にはご家族と一緒に食事指導を受けていただいています。心不全の再発予防のための食事の注意点について患者さんお一人お一人の生活環境に合わせた実行可能な食事指導を心がけています。転院の患者さんについては栄養情報提供書を作成し、他施設の栄養士の方々と情報共有するように努めています。